研究紹介フェライトめっきの応用・実用化

◎超音波造影剤

中空シリカ球を応用したフェライトカプセル多孔質シリカ球
多孔質シリカ微小球をマグネタイト(Fe3O4)でめっきした微小球は水中で、多孔質の空気によって超音波を効率よく反射するので、水流などを可視化するための超音波造影剤として用いることができます。
この超音波造影剤には
(1)フェライト層の厚さを調整して、球の見かけ比重を水と同じ1にすることができる、
(2)外磁界で容易に輸送と回収ができる、

という利点があります。
[参考文献:M. Zhang, T. Itoh and M. Abe, Jpn.J. Appl. Phys., 36(1997)243.]

PS

◎バイオ・メディカル応用

ガン診断・治療用磁性粒子、フェライトコート血管
人工血管の内壁の表面をマグネタイトでめっきすることにより、血栓がつきにくくなることが、下記のデータで検証されています。
右図は、マグネタイトで内壁をめっきしたセグメント化ポリウレタン(SPU)・チューブおよびめっきしないチューブ内での血液の凝固時間の測定結果
[F.Miyawaki,T.Tsuji,M.Abe and M.Kaibara,Proc.[ World congress of Cardiology,1998,Riode Janairo,p.1133;金属68(1998)290]

GRAPH

◎カラーコピー用トナー

電子写真用トナー・キャリヤー−フェライトカプセル完全球形プラスチック球を用いて高画質コピー
・キャリアーフェライトカプセル・ポリマー球を応用
表面をフェライトでめっきしたポリアクリル微小球(フェライトカプセル球)を用いた電子写真用のトナー(直径3〜10μm)とキャリヤー(直径50〜100μm)が開発されました。ポリマー球は比重が小さく、形状が完全球で、その粒径分布がきわめてシャープです。それゆえ、フェライトカプセル球を用いることによって、フェライト焼結体を粉砕して作られている従来のトナーとキャリヤーを用いた場合に比べ、高品位のコピー画像が得られます。
[参考文献:K. Ishikawa, M. Ohishi, T. Saitho, M. Abe and Y. Tamaura: New Magnetic Capsule Toner and Carrier with High Imaging -Quality and Low Fusing Temperature Prepared by Ferrite Plating; Dig. Intermag. Conf., Kyoto EB-04. (1987).

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