研究紹介超高周波・マイクロ波デバイスの開発

低温(<90℃)プロセスによるフェライトめっき膜は高い電気抵抗をもつため超高周波領域で高い透磁率を示します。下図のように、フェライトめっき膜の上限周波数fr(磁気共鳴周波数fr)は、バルク試料に比べ、10倍も高くなります。
スピネル・フェライト薄膜の複素透磁率(μ=μ’-j μ”)を100MHz以上の高周波で測定したのは本研究室が世界で初めてです。
このように優れたフェライトめっき膜の高周波特性を生かして、次世代の情報・通信機器で必要とされる、1MHz~30GHzの高周波・マイクロ波帯域用の薄膜磁性デバイスの研究を行い、すでに電磁ノイズ吸収体
を実用化しました(詳細はこちらをクリックしてください)。
SPIN SPRAY

◎スピンスプレー・フェライトめっきによる
薄膜・電磁ノイズ吸収体

スピンスプレーフェライトめっき法

直接型 プリント基板を電子素子ごとフェライトでコートし、電磁ノイズを完全にシャットアウト SPIN SPRAY
シート型 ポリマーシート上にフェライト膜をコート。はさみで自由に切れ、電子機器・デバイスを包んで電磁ノイズを遮断

◎超音波励起フェライトめっきによる磁気コア

・金属 表面をフェライトでめっきして、プレス成型することにより、フェライトの高絶縁性(従って高透磁率)と金属球の高飽和磁化を合わせ持ち、MHz帯域で高性能をもつ複合磁気コアを開発しました。

参考文献
1)  Nobuhiro Matsushita, Duksil Kim, and Masanori Abe: High-Flux Density and Low-Core Losses Attained for Ferrite/Permalloy Composite Core, IEEE Trans. Magn. Soc., 42, 10, 2824-2826 (2006).

2)  山田健伸,藤原照彦,阿部正紀:フェライト被膜金属粉末を用いた複合圧粉磁心の開発,NEC TOKIN TECHNICAL REVIEW, 32, 26-30 (Sep. 2005).

3)  Masaru Tada,a, Tatsunobu Abe, Jin Miyasaka, Nobuhiro Matsushita, and Masanori Abe: Crystallite size dependence of natural resonance frequency for spinsprayed Fe3O4 / γ–Fe2O3 films highly permeable up to gigahertz range, J. Appl. Phys. 97, 10G109 (2005).
SPIN SPRAY

◎各種の高周波フェライト薄膜デバイスの開発

 最先端の情報・通信技術で要求されている薄磁性デバイスの開発を行っています。

 ☆数MHz帯 : 超小型商用電源トランス、MEMS用デバイス
 ☆数十MHz帯 : PLC(高速電力線通信)用デバイス
 ☆数百MHz帯 : 地上波デジタル放送用デバイス、RFIDタグ用シールド

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