シリコン量子ドットの表面酸化

伊福徹、 伊藤明、 小田俊理  
 

我々は、超高真空装置にSiH4プラズマセルを組み合わせ、粒径10nm前後のSi量子ド ット(SQD)を作製している1)。このようなSQDを用いた、将来の単一電子素子等への応 用を目的とし、その電気的特性を測定してきた2)。しかしSQD表面の自然酸化膜での リーク電流の発生や、基板表面に吸着している状態でSQDが簡単に動いてしまう等の 問題があった。その解決方法として、今回その場酸化を含む方法で、作製したnc-Si の酸化を試みた結果を報告する。  Si基板をイオンミリングにより開けた穴の縁に堆積されたものを観察した。800℃ DryO2雰囲気で10分間酸化することにより、nc-Siの周囲に3nm程度と、自然酸化膜厚 (1.5nm)より厚い酸化膜が形成できたことが分かる。またnc-Siと基板のSiO2が癒着し ている様子から、nc-Siを熱酸化させることにより、基板に固定できると考えられ る。

[謝辞]TEM観察に御協力いただいた東工大理学部八木・山本研究室に感謝します。本 研究の一部は文部省科学研究費補助金の援助を受けた。

1) M. Otobe et al: Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 377 (1995).
2) 乙部、木村他、第43回春季応物講演予稿集No.1、26pZA1,2 (1995年)、p60,61
                             第57回応用物理学会学術講演会, 9a-B-8 (1996)