超高圧電子顕微鏡による観察
ナノ構造観察支援業務では、東工大すずかけ台キャンパスにある
超高電圧・超高真空・高分解能電子顕微鏡室を中心として、支援事業を行います。
支援に供する透過型電子顕微鏡が超高圧電子顕微鏡であることから、貫通力に優れ、厚い試料でも観測可能です。さらに、超高真空であることにより表面の清浄度を保ったままの長時間観察が可能であるため、表面状態によって物性が大きく変わる半導体等の観察技術として提供できる点が特徴です。
さらに、超高圧電子顕微鏡は、電圧が高いことで逆に照射欠陥が減ることから生体材料での観察に適しています。これは、加速電圧が1,000kVを超えると1μm程度の厚さでも照射欠陥を生じることなく貫通する為です。細胞への遺伝子操作のためのRNAやDNAなどを混ぜた試薬においての構造は明らかではなかったのですが、東工大の生命理工学研究科では、超高電圧・超高真空・高分解能電子顕微鏡室を利用して、DNAでの導入効率を高める効果がある炭酸アパタイト、遺伝子導入用試薬として一般的なDOTAPとRNAを混ぜた有機/無機ハイブリッド微粒子の微細構造を観察しています。

RNAを含む有機/無機ハイブリッド微粒子のTEM像。部分的に白く見える形状はリポソーム膜の微細構造。

Au(011)面の格子像
支援に用いる装置
東工大の超高圧電子顕微鏡は、世界で唯一超高真空・極低温で試料を保つことが出来る装置です。加速電圧 は200〜1250kV(通常は1000kVまでです。)。真空度は5x10-6Pa(試料室)です。

超高電圧・超高真空・高分解能電子顕微鏡